「大運天中殺」という言葉を調べていると、20年間・不運・何をしてもうまくいかない――そんな不穏な単語ばかりが並んでいて、少し身構えてしまった方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げます。大運天中殺は「不運の20年」ではなく、追い風が止み、自分の内側にエネルギーが向かう20年です。
この記事では、大運天中殺の意味、自分にいつ来るのかを調べる3ステップ、そして20年をどう過ごすと後で効いてくるのかを、専門用語を噛み砕きながら整理します。そもそも大運天中殺が一生来ない人もいるという事実も含めて、データとして冷静にお伝えします。
直樹藤本直樹です。私は40歳のときに燃え尽きて休職しました。あとから命式を見返して、ちょうど大運の切り替わりと重なっていたと知ったんです。当てられた気はしませんでしたが、「頑張り方を間違えていた」と腑に落ちた感覚はよく覚えています。
【結論】四柱推命の大運天中殺とは?20年続く「追い風が止む期間」


まず全体像を1行でまとめます。
大運天中殺とは、10年単位で巡ってくる運気の流れ(大運)に、自分の「天中殺の干支」が2回続けて回ってくる合計20年間のことです。
言葉が3つ重なっているだけなので、ひとつずつ分解すれば難しくありません。
「天中殺(=空亡)」は暦のズレから生まれる空白
四柱推命や算命学の土台には、十干(甲・乙・丙…の10種)と十二支(子・丑・寅…の12種)を組み合わせた干支があります。
10と12を順番にペアにしていくと、十二支のほうが必ず2つ余ります。この余った2つの支が、その人にとっての「天中殺」であり、四柱推命では空亡(くうぼう)と呼ばれるものです。
つまり天中殺は、祟りでも罰でもなく、暦の構造上どうしても生まれる「空白のコマ」だと考えてください。器が用意されていない時間帯、と言い換えてもいいと思います。
【関連記事】四柱推命の空亡とは?「苦しい2年」を力に変える過ごし方
「大運」は10年ごとに変わる運気のステージ
大運(たいうん)は、命式をもとに算出される10年単位の運気の流れです。生まれた年月日時から導き出された干支が、10年ごとに切り替わっていきます。
季節が変わるように、その10年ごとに「力の出しやすい方向」が変わる、というイメージが近いです。営業が得意だった人が管理職の10年に入る、といった環境の変化とも重なりやすい区切りです。
【関連記事】四柱推命の大運の切り替わりはいつ?前後3年に起きることと動き方
2つが重なると「20年続く大運天中殺」になる
天中殺の支は必ず2つセット(子丑・寅卯・辰巳・午未・申酉・戌亥のいずれか)です。
その2つの支が大運に順番に回ってくると、10年+10年で合計20年間の大運天中殺となります。年ごとに巡る天中殺(年運天中殺)が2年で終わるのに対して、こちらはケタが違う長さです。
ただし、長いからこそ「ずっと不調」ということはまず起こりません。次章で、ここを丁寧に解きほぐします。
| 種類 | 期間 | 特徴 |
|---|---|---|
| 年運天中殺(空亡) | 2年 | 12年に一度。出来事として現れやすい |
| 大運天中殺 | 20年 | 人生に一度あるかどうか。価値観や生き方の土台に効く |
| 宿命天中殺 | 生涯 | 生まれ持った命式の中に天中殺の要素がある状態 |
大運天中殺は「悪い20年」ではない|誤解されやすい3つのこと


検索して出てくる情報は、どうしても刺激の強い表現に寄りがちです。ここで一度、大運天中殺を「運の善し悪し」ではなく「エネルギーの向き」として捉え直します。
誤解1:20年ずっと不調が続く
実際には、20年間ずっと低空飛行という人はほとんどいません。古典的にも、揺れが出やすいのは「入口」と「出口」だと整理されています。
入口は、それまでの追い風が急に止む感覚。出口は、次のステージに向けて足場を組み替えるタイミング。真ん中の十数年は、むしろ淡々と積み上がっていく人が多い時期です。
大運天中殺の期間に社会的に大きな成功を収める方も珍しくありません。運が止まるのではなく、「評価される軸が変わる」と捉えるほうが実感に近いと思います。
誤解2:何をやってもムダになる
「天中殺に始めたことは全うできない」という表現がよく引用されますが、これは外に向かって勢いで広げる動きについて言われてきたものです。
逆に、資格の勉強、専門知識の習得、体力づくり、人間関係の整理といった内側を厚くする行動は、この20年に非常に相性がいいとされています。
種まきの季節に収穫を求めれば苦しくなる。ただそれだけの話だと、私は理解しています。



営業課長だった頃の私は、数字という「外の評価軸」だけで自分を測っていました。休職して初めて、社内で誰も引き継げなかった顧客対応のノウハウが自分の資産だと気づいたんです。あのとき積んでいたのは、外向きの成果ではなく内側の厚みだったと今は思います。
誤解3:全員に必ず訪れる
ここは意外と知られていません。大運が回ってくる順番と速さは人によって違うため、寿命の範囲内に大運天中殺が訪れない方も一定数います。
逆に、生まれてすぐ大運天中殺という方、20代〜40代の働き盛りにぴったり重なる方、晩年に入る方もいます。「ある/ない」も「いつ来るか」も、命式ごとに完全に個別だということです。
だからこそ、一般論の記事を読んで不安になる前に、自分の命式で確認するのが先だと考えています。
【3ステップ】自分の大運天中殺がいつ来るかの調べ方
やることは3つだけです。「自分の天中殺の支を知る」→「大運の並びを出す」→「重なる20年を探す」という順番で進めます。
STEP1:日柱の干支から天中殺グループを特定する
まず、無料の命式作成ツールなどで生年月日から「日柱の干支」を出してください。日柱は、その人自身を表す柱で、ここに出る十干が日干(にっかん/日主)――自分の素材そのものを示す要素です。
日柱の干支がわかったら、下の早見表で天中殺グループを確認します。60種類ある干支は6つのグループに分かれ、それぞれ余った2支が天中殺になります。
| 日柱の干支(グループの範囲) | 天中殺グループ |
|---|---|
| 甲子〜癸酉 | 戌亥(いぬい)天中殺 |
| 甲戌〜癸未 | 申酉(さるとり)天中殺 |
| 甲申〜癸巳 | 午未(うまひつじ)天中殺 |
| 甲午〜癸卯 | 辰巳(たつみ)天中殺 |
| 甲辰〜癸丑 | 寅卯(とらう)天中殺 |
| 甲寅〜癸亥 | 子丑(ねうし)天中殺 |
【関連記事】四柱推命・日干10種類の性格一覧|早見表で自分の型を3分で知る
STEP2:大運の並び(何歳から何の干支か)を出す
次に、命式から大運を算出します。大運は「◯歳〜◯歳=この干支」という10年ごとのリストとして出てきます。
スタート年齢は人によって違い、3歳から始まる方もいれば8歳から始まる方もいます。順行・逆行という進む向きの違いもあるため、ここは自動計算ツールか鑑定に任せるのが確実です。
STEP3:大運の支と天中殺の支が重なる20年を探す
最後に、STEP2で出した大運のリストを上から見ていき、STEP1で特定した2つの支が並んで登場する箇所を探します。
たとえば午未天中殺の方で、大運が「45歳〜54歳=午」「55歳〜64歳=未」と並んでいれば、45歳から64歳までの20年が大運天中殺です。
並びの中に該当の2支が出てこないまま大運が終わる場合、その方には大運天中殺がない、という読み方になります。



ここまでは仕組みの話なので、ツールでも十分たどり着けます。ただ「自分の場合は前半と後半でどう違うのか」「日干や通変星との兼ね合いでどう出るのか」まで踏み込むと、独学だとかなり手こずりました。私はそこで一度、専門家に自分の命式を読んでもらっています。
大運天中殺の20年で起きやすいこと【前半・後半・明け】


20年をひとかたまりで見ると長すぎて対策が立ちません。「入口5年」「中盤10年」「出口5年とその後」の3つに分けて眺めると、動き方がはっきりします。
| 時期 | 起きやすいこと | おすすめの動き方 |
|---|---|---|
| 入口(最初の数年) | 環境や立場が変わる。今までの勝ちパターンが効きにくくなる | 結果より、状況の把握と足場固めを優先する |
| 中盤 | 目立った波は落ち着き、コツコツ積み上がる。学びや専門性が深まる | 資格・技術・人間関係など「減らない資産」に投資する |
| 出口(終盤の数年) | 支えてくれた条件が一区切りする。次の型への組み替えが必要になる | 手を広げすぎず、身軽にして次のステージへ備える |
| 明け(20年終了後) | 外の評価軸が戻り、蓄えたものが動き出しやすい | 中盤で仕込んだものを、ここで表に出す |
大切なのは、入口と出口の揺れは「失敗」ではなく「切り替えの合図」だという捉え方です。
四柱推命には、生まれてから死ぬまでの勢いを12段階で表す十二運という考え方もあります。人には強く出られる時期と、力を抜いてよい時期が必ずある――大運天中殺も、その波の一部にすぎません。
【関連記事】四柱推命の十二運早見表|強い時期と力を抜く時期がわかる
大運天中殺の過ごし方|向いていること・急がなくていいこと
「では、この20年をどう過ごすか」。ここが一番知りたいところだと思います。
前提として、禁止事項のリストではなく「効率が良い方向・悪い方向」の話として読んでください。
この20年に向いている過ごし方
- 専門性を深める:資格取得、語学、技術の習熟など「自分の中に残るもの」
- 役割を丁寧に果たす:与えられた場所で信頼を積む。派手さより継続
- 体調と生活リズムを整える:無理が効きにくい時期こそ土台を守る
- 人間関係を整理する:数を増やすより、長く付き合える相手に時間を配分する
- 記録を残す:やったこと・学んだことを言語化しておくと、明け後に武器になる
急いで判断しなくていいこと
- 勢いだけで決める独立・大型の新規事業
- 短期で結果を出そうとする拡大路線
- 周囲に流されて決める大きな契約や住まいの選択
- 「今すぐ結果が出ないから自分はダメだ」という自己評価
誤解のないよう補足すると、大運天中殺だから独立してはいけない、結婚してはいけない、というルールではありません。
実際にこの期間に独立して長く続いている方もいます。違うのは進め方で、準備期間を長めに取り、撤退ラインを決め、身の丈で始めるほうが噛み合いやすい、というだけです。
お金や健康に関わる判断は、占いの結果だけで決めず、必ず専門家や医療機関に相談したうえで最終判断してください。
働き盛りに大運天中殺が重なった人へ|仕事・転職の考え方
30代後半から40代は、責任も期待も一番重くなる年代です。ここに大運天中殺が重なると、「頑張っているのに評価が伸びない」「役割が急に変わって戸惑う」といった感覚が出やすくなります。
私が伝えたいのは、この時期の停滞感は能力の問題ではなく、勝負する土俵がズレているサインだということです。
実務的には、次のように整理すると動きやすくなります。
転職するかどうかより、「今の環境で自分の型を活かせているか」を先に検証する。命式で見える自分の強み――たとえば人と競って伸びるタイプなのか、教えたり作ったりして伸びるタイプなのか――と、今の仕事の中身が合っているかを照らし合わせるということです。
ズレが小さいなら異動や役割変更で足りますし、ズレが大きいなら、明けを待たずに動いたほうがいい場合もあります。



私は復職後、営業の最前線ではなく育成寄りの役割に移りました。数字を追う型ではなく、人に手渡す型のほうが自分には合っていたんです。四柱推命を「当てるもの」ではなく「自分の取扱説明書」として使えたのは、この一点に気づけたからでした。
大運天中殺に関するよくある質問【FAQ】
Q. 大運天中殺と空亡は同じものですか?
基本的な仕組みは同じで、四柱推命で「空亡」、算命学で「天中殺」と呼び名が分かれています。大運に巡ってきたものを「大運天中殺」または「大運空亡」と呼びます。流派によって細かな解釈は異なります。
Q. 2年の天中殺(空亡)とは何が違いますか?
2年の年運天中殺は出来事として現れやすいのに対し、20年の大運天中殺は価値観や生き方の土台に効いてくるとされます。短距離走と長期のシーズンの違いだとお考えください。
【関連記事】四柱推命「空亡」の過ごし方|2年間にすべき7つの行動と注意点
Q. 大運天中殺がない人は運が良いということですか?
いいえ、優劣ではありません。大運天中殺がない方には、また別の運気の波の出方があります。「ある人=不運、ない人=幸運」という単純な区別ではない、というのが基本的な考え方です。
Q. 期間中に結婚や出産をしても大丈夫ですか?
問題ありません。大運天中殺中に家庭を築き、長く続いている方は大勢います。避けるべきなのは「勢いだけの即断」であって、人生の出来事そのものではありません。
Q. 途中で「もう抜けた」と感じることはありますか?
あります。中盤は落ち着きやすいため、体感として平常運転に戻ったように感じる方は少なくありません。体感と暦上の期間は必ずしも一致しないため、区切りは命式で確認するのが確実です。
まとめ|大運天中殺は「休む20年」ではなく「仕込む20年」
最後に要点を整理します。
- 大運天中殺=天中殺の2支が大運に連続して回る20年間
- 揺れやすいのは入口と出口。中盤は淡々と積み上がる時期
- 調べ方は①日柱の干支から天中殺グループ→②大運の並び→③重なる20年
- 外に広げるより、専門性・健康・人間関係という内側の資産を厚くする
- そもそも大運天中殺が来ない人もいる。まず自分の命式で確認する
四柱推命は、未来を言い当てるためのものではないと私は考えています。
自分の設計図を読み、力を出す時期と抜く時期を知って、自分の型で生きるための道具です。大運天中殺という20年も、そのなかの一区間にすぎません。
不安を先取りするより、「この20年で何を仕込むか」に頭を使ったほうが、確実に手元に残るものが増えます。



とはいえ、自分の命式で前半・後半がどう出るのか、日干や通変星と組み合わせるとどう読むのかは、独学だとどうしても曖昧になります。切り替えの時期が近い方ほど、一度プロに具体的な読み方を確認しておくと、判断に迷う回数がぐっと減りますよ。







